忘れない

2019-3-11 | その他

今日は2019年3月11日。

8年前の今日の日を忘れることはない。
未だに元の生活に戻れない方が
大勢いる。
そして災害で助かった方の中に
先の見えない未来に
自ら命を絶つ人もいるという現実に
胸が締め付けられる…
大切なことは意識していても時の中で薄れてしまう。
僕等が出来ることは愚痴を言うことでも人を傷つけることではない。
どんなときでも希望を持ち一生懸命に生きること。
とてもとてもとても長いブログです。
読める人だけ読んでください。
当時、僕は新橋でカフェの店長をしていた。
店長として7年目の春。
大手カフェには足元にも及ばないが売り上げは年間8000万辺り。
ふた手間では仕事は回らない。
日々仕入れ業者とミーティング。
品質。
クレンリネス。
従業員のモチベーション。
店長会議。
数字。
その頃僕は次の日のケーキを朝の5時まで作り、大きなショーケースに並べていくという作業を日々繰り返していた。
ほぼ手作りのケーキで満たし、賑やかなショーケースにすることはとてつもなく大変だったが美味しいと言ってくれるお客様の顔を見れば幸せだったから妥協せずひとつひとつ手塩にかけた。
なので繁盛期の12月は合わせて
二度倒れたことがある。
営業時間は朝7時にオープン、23時クローズ。
日に日にケーキは好調に売れ始め、アイドルタイムもなくなり売り上げもそれに見合ったものになっていた。
全てが上向きだった。
店長になって幸せを感じていた。
2011年、3月11日。
大きな地震で目を覚ます。
ベッドから飛び起きTVを支えながら付ける。
食器と植木鉢が棚から落ち、床で割れる。
まぁ大丈夫だろうと思っていたが
そんな気持ちも直ぐに打ち消される。
緊急地震速報が続く。
初めて見る大津波警報。
ただ事ではない。
店は大丈夫だろうか。
電話が繋がらない。
当時僕は荻窪に住んでいてバイク通勤していた。
電車と道路が混乱し始めている。
とにかく店に行こうと思いバイクに跨る。
青梅街道から新宿通りへ。
道路は今まで見たことない異様な光景。
車と人で溢れかえっていた。
道路を歩く人とぶつかりながら無理やり前に
バイクを進め、40分の道のりを2時間かかって店に到着。
幸い皆無事で、店の席は埋まりお客様は状況の把握とこれからどうするかを、話し合っている。
とにかく電車が完全に止まり再開の目処は立たない状況。
地下のショッピングモールの通路に人が増えてくる。
他の店舗の店長と話をし、帰るにも今は帰れないからしばらく様子をみて支配人の指示を待とうということになった。
うちの従業員には歩いて帰れそうなら帰ってかまわないと伝える。
店は何時まで開けておくか。
帰れない従業員はどうするか。
とにかくここに留まるしかなかった。
銀座にドンキホーテがあるので自転車を買ってこようと思い立ったが、その時点で全て自転車が完売していた。
結局、23時頃各店のシャッターを下ろすということでお客様には退店して頂き、各店舗の店長とミーティングを開始。
その頃携帯が復旧し、段々と状況がわかりはじめる。
津波が凄かったらしい…?
沢山の人が死んだらしい…?
そして続く緊急地震速報のサイレン。
それぞれ家族と連絡を取り合う。
段々と皆の顔に不安と疲労が浮かび始める。
午前2時。
シャッターを下ろした地下のショッピングモールには帰宅難民が溢れ冷たいコンクリートにうずくまる異様な光景があった。
女性優先でお店に入れるか…
いろいろ話し合った。
できることは、あるか。
うちはカフェで飲み物ならある。
ただ、紙コップのようなものがない。
同じモール内の日本一を誇る売り上げのエクセルシオールの店長と話し合い、テイクアウト用のカップを出してくれることを快諾してくれた。
暖かい紅茶を皆に配ろう。
紅茶はうちが作る。
各店舗の皆が団結しうちの店に集まり、紅茶を入れ手分けして皆に配った。
5時。
そろそろ朝になる。
開店はどうするか。
パン屋は来てくれるだろうか。
従業員で話し合い
店に在庫がある限りはオープンしようと
いうことになった。
パン屋が到着。
通常通りの納品の数だ。
6時30分。
店の前にすさまじい行列が出来ている。
皆もちろん帰れなかった人達だ。
これはまずい…
食材が足りない。
オープンから2時間、大きな山パン10山が底を着く。
そこからは米でやりくりだ。
詳細は忘れてしまったが
午後には幾つかの路線が復旧し始め、皆が電光掲示版を見つめているのを覚えている。
数日は少し早めに店を閉めることになった。
疲れがどっと出てきた。
帰り道、通常ならばネオンきらめく新宿通りもどこか薄暗いアルタ前をバイクで通過し家に着いた途端倒れるように眠った…
2011年、3月13日。
ニュースで初めて津波の甚大な被害を知った。
本当に日本で起こったことなのかと信じることができないでいた。
コンビニやスーパーの品が全くなく、今まで体験したことのない【怖さ】を感じた。
計画停電。
無駄な電気を省く。
賑わってたショーケースも店も暗くなり静まり返った。
売り上げが震災前の半分になった。
ケーキを作る気力がなく本店からホールケーキを3~4種類送ってもらいそれだけをショーケースに並べた。
震災をきっかけに数人、従業員が辞めた。
隣の店の仲良くしてた店長の目が真っ赤に腫れてた。
友達が津波で死んだと。
津波の来る直前までたまたまつながった電話で話していたらしい。
その直後津波に飲まれてしまった…
辛すぎる。
俺はその人の写真をもらった。
しばらくして…
自分自身の、何かの糸が切れた。
5日間家から外に出られず仕事を休んだ。
誰とも話したくなくてずっと1人でいた。
動けなかった。
東京の街が暗い。
これから何ができるのか。
もう何もわからない。
未来が全く見えない。
仕事に命をかけてやってきたつもりだったがもう全てあの頃に戻ることはないと俯いた。
夜毎震災のYouTubeを見ていた。
静かな部屋の中で
YouTubeで海外の方が沢山援助に駆けつけてくれた動画を見つけ子供のように泣いた。
何度も見ては何度も泣いた。
力を貸してくれる人。
物資を運んでくれる人。
祈りを捧げてくれる人。
枯れるまで泣いた。
俺はただひとり嘆いているだけ…
何もしてあげずに悲観に酔いしれているだけ…
そして…
次の日から少しずつケーキをまた
作り始めた。
心と逆走する身体はひどく辛い。
それでも自分がまずできることをしなくては。
売り上げは戻ることはなかったが
それでも出来る限り作り続けた。
人生とは…
ある日隣の店長が
「ここの列のお店リニューアルで
全部撤退らしいですよ、
なんかそんな話聞いてます?」
と言ってきた。
撤退とはまさにさよならを意味する。
びっくりした俺は社長に聞いてみることにした。
まさか店がなくなることはないだろう。
そう思いながら社長に電話をする。
「社長、うちって撤退するんですか」
率直に聞いた。
すると声のトーンを下げた社長が
「実はそうなってしまったんだ。一番に言えなくてごめん」
そのとき心が音を立て崩れた。
社長を責めた。
社長は「頑張ってるから言い出せなかった」と
辛そうな声で言った。
一気に涙が溢れ出して
泣き崩れた。
アルバイトが近くにいたが泣き崩れた。
アルバイトの子が「大丈夫ですか」と何度も声をかけてくれた。
ただ泣きながら「ごめんね」とずっと繰り返した。
そして立っていることもできないくらいの頭痛が襲ってきた。
帰れずひとり店の椅子に横になり
片目を開けて
友人に助けを求めた。
タクシーに乗りその友人の家に泊めさせてもらうことにした。
東京の夜景が暗い。
明日が来るのかすらも本当にわからなかった。
次の日
目覚めると朝日が差し込んだ。
真っ白な光。
割れるような頭痛はどこかへ消え
頭の中が空っぽのように軽い。
友人が朝ごはんを作ってくれた。
ゆっくりと静かに口に運んだ。
カーテンを開けると日差しがさらに真っ直ぐ
飛び込んできた。
そのときふっと言葉がよぎった。
「夢を追いつづける」
その言葉だけが浮かんだ。
そして、
10年お世話になった会社を辞めることを決め、社長に伝えた。
お店を整理し、やめる準備を整えて
僕はドアを閉めた。
この震災は沢山の事を感じ経験した。
人生と歌に向き合う姿勢も意味も大きく変わった。
20代、音楽をやっていたけれど
理由がいまいちわからなかった。
音楽から遠く離れ社会の中で
揉まれながら気付くことがあると思った。
なるようにしかならないのならば
風に身を任せてみようと思った。
音楽をやるチャンスがもう来ないのであればそれが自分の人生だと割り切ろうと思った。
でも、
いろんなタイミングが重なり
もう一度音楽に関わることができた。
その日、音楽に対する心構えや意味が自分の中で初めて生まれた。
だからこれから音楽や自身、全てのものの中で社会に少しでも貢献していきたいと思う。
有名になりたいとか武道館でライブしたいとかそんなことは今もこれからも、もしかしたら思わないかもしれない。
人の温かさに触れた分それを倍に返していきたい。
ふと浮かぶ…
【  何かを他人事のように笑ってる人がいざ困難に陥りその時、助けてくれる人がいる。
誰かが言う。
そいつはお前の不幸を笑うような人間なんだから
助ける必要なんてない   と。
そんなことは関係ないよ、と
今困ってる人を助けるのは人間として当然なことだと温かい手を差し伸べる人がいる。
人の不幸を笑ってた人はその温かい手に触れた瞬間に生まれ変わる。
人が無くしてはいけないのは
お金でも夢でもなく
思いやりだよ   と
その人は笑った…  】
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WRITER- 桜井 裕也 -

桜井 裕也

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